企業に勤めている方であれば経営、幹部層でなくても、経営戦略について興味を持つことはあるはずです。
今回は1990年代にアメリカで出版された書籍「コア・コンピタンス経営」をもとに、未来の競争に勝つための戦略についてご紹介します。
コア・コンピタンスとは
コア・コンピタンスは、「他社を圧倒し、他社がマネすることができないような顧客価値を創造する能力」のことです。
それは技術や特許のようなものではなく、ビジネスプロセスを通して見たときにダントツで他社より優れた能力を指します。
自動車メーカーのホンダにとっては、「小さくて環境性能に優れたエンジンを開発する能力」がコア・コンピタンスであり、それを基にバイク⇒自動車⇒船外機⇒飛行機のエンジンなどに事業を拡大したわけです。
コア・コンピタンス経営がなぜ必要か
一般的に、リストラクチャリングやリエンジニアリングは、現在の顧客価値を損なわずに効率経営を行う手法です。
しかし、本当に企業に必要なのは未来の競争に勝つための手法です。
コア・コンピタンス経営では未来の市場・顧客価値に対する自社の戦略を決め、経営資源を投下していきます。
ポイントは単なる効率化ではなく、未来の競争力確保にあります。
中核となる手法
ストレッチ戦略
過去や現在の状態から未来のありたい姿を決めるのではなく、未来の顧客価値、社会ニーズから進むべき道を決めます。
結果的に現状とギャップがある状態を目指しますが、次のレバレッジ戦略で新たなコア・コンピタンスを作り上げていきます。
レバレッジ戦略
未来の目標の姿に対し、不足している状態であれば、企業努力、資源投下などにより、新たなコア・コンピタンスを構築する必要があります。
これまでのコア・コンピタンスと新たな技術などを活用して、未来の顧客価値を創造できるようにします。
まとめ
コア・コンピタンス経営は、過去や現在の姿から効率経営を行うのではなく、未来の顧客価値の創造、社会課題の解決にポイントを置いている経営手法です。
未来の社会ニーズの予測、現在のコア・コンピタンスの理解など、現代にも通用する経営理論であると言えます。
現代の企業は、急激な事業環境の変化の中におかれています。
自社が向かうべき方向の判断には、このような未来と現在をしっかりと意識した経営のバランスが必要不可欠なのです。