これからは多様性の時代です。例えば、性別、思想、障害の有無といった点に関係なく、自分らしく生きていける社会こそが理想となりますし、社会の公器たる企業にも、そうした動きに対応する姿勢が求められます。この中でも、今回は障害者に就労の機会を提供する「就労継続支援事業」の内容を紹介します。
就労継続支援事業とは、通常の事業所で働くことが難しい障害者に働く場所や生産活動、他のさまざまな活動を行う機会を与えることで、本人(障害者)の知識や能力を向上させる、いわば「訓練」の場を提供する事業のことです。
A型、B型の違いは??
就労継続支援事業には「A型」と「B型」の2種類があります。ここでA型事業とは通常の事業所に雇用されることが困難な一方、雇用契約に基づいて就労が可能である人に対し、雇用契約雇用契約を結んで働いてもらう事業のことです。最終的には障害のある人が一般企業へ就職を目標として利用するものです。B型事業とは通常の事業所に雇用されることが困難であることはA型と同じですが、さらに雇用契約に基づく就労が難しいという事情のある人に対し、就労の機会を提供する事業のことです。
つまり、最も大きな差異は雇用契約の有無で、事業者と本人の間に雇用関係が成り立っているかいないか、という点です。A型、B型、どちらであっても、賃金が発生するのは同じです。令和元年度の広島県の就労継続支援事業の集計によると、A型(雇用型)の月額平均賃金は9万7547円です。これは多いのか少ないのか。時給換算にすると、934円ですから、世の中のアルバイトと比べて悪くはなさそうですね。B型はどうでしょう?同じく広島県によるまとめによると、月額の平均賃金は1万7167円です。これは上記のように雇用契約を結んでいないため、最低賃金を下回っても問題ない、というところから低水準にとどまっているという背景があります。もっとも、この水準も、近年では少しずつ改善されつつある状況のようです。